「プレーにこだわりを持つのはいいことだが、それがただの自己満足なら、そんなこだわりはクソだ。自分のためだけにプレーするな。」
出典
- アニメ：ALL OUT!! 第7話
- 製作：神高ラグビー部
- 漫画：ALL OUT!! 第3巻
- 作者：雨瀬シオリ
- 発言者：籠 信吾（こもり しんご：神奈川高校ラグビー部コーチ）
アニメ・シーンの概要
今回は以前もご紹介したラグビー漫画・アニメ、オールアウトより。
神高ラグビー部に入部した主人公の祇園は、チーム内の練習試合でタックルを頑張ります。しかし神高ラグビー部に入部するまで、他のスポーツをプレーした経験のない祇園は、タックルすることばかり考え、パスもボールキャッチもしていませんでした。それをコーチの籠に「独りよがりのプレー」と指摘され、交代を命じられます。
その後友人となった石清水との会話を経て、チームプレーの重要性を理解した祇園。球拾いをしながら練習試合を見ていましたが、プレー中の石清水がパスを要求しているのをみて、持っていたボールをパスするように上に放ってしまい、慌てて拾います。
これを見た籠は最後の5分間、祇園を試合に出し、祇園が真の意味でラグビー部員になったことを認め、練習試合終了後、チームの全員に向けてご紹介した言葉を発しました。
つがらーの思うこと
日本で開催されたワールドカップを機にラグビーに触れた方は多いかと思います。他のスポーツでもそうであるとは思いますが、特にラグビーはチームプレーが重要です。日本が負けてしまった試合でMVPとなった、南アのデクラーク選手など、圧倒的に動きのいい、上手い選手一人がいればそれだけでも流れが変わることも確かにあるのですが、後ろにしかパスができない上、タックルという物理的に相手に体当たりして止めて良いというルールがあるため、例えばサッカーのように超絶うまい選手がドリブルで何人もごぼう抜きして得点する、野球のようにホームランでいきなり点が入るなど、そのずば抜けた1人の力だけで点に結び付けるというプレーは、ラグビーにおいてはほぼ不可能です。
しかも一度倒れたら再度しっかり起き上がるまでプレーに参加できない。倒れた状態でボールに関与すれば反則です。このため、ひたすらボールを味方につなげていくというプレーが重要になり、その代表的なプレーといえるのが、スコットランド戦で日本が見せたオフロードパスの連続からの稲垣選手のトライであり、まさにチームプレーの賜物というべきプレーでした。
したがって主人公、祇園がやっていたような”ただひたすらタックルするだけ”の「独りよがりなプレー」は称賛されないのです。
そしてこれは仕事でもいえることではないかと思います。仕事にも一人の努力と結果で得られたもので良いものもありますが、他人と協力が必要なものも多くあります。仕事では長年やればやるほど慣れも出てきますし、自分なりのこだわり、ポリシーというものが生まれてくるものかと思うのですが、これがチームプレーが必要となる仕事の場合、自己満足でしかないものだと、ただチームプレーを邪魔するだけのものになってしまう。
根本的にはこだわりを持つことは大事だと思います。だからこそ熱をいれてやるだろうし、それゆえに自分が成長することもあるからです。
しかし一方で、他人と協力すべき仕事、すなわちチームプレーが必要な仕事ならば、自分が他の人のためにできること、連携のために必要なことを最優先で考え、「自己満足の、自分のためだけのこだわり」は捨てるか、もしくは他人に迷惑がかからない程度でとどめる。しかもこれは立場の上下に関わらずやらなければならない。さらに役割分担がされることがほとんどなので、その役割に応じた仕事を自覚し、責任をもって各自が行う必要もある。それをできればチームとしていい結果が出る。できなければ良い結果は期待できない。
上記のような複数の要因が絡むため、仕事でもチームプレーは難しいわけですが、これを邪魔する一番大きな要因は、今回ご紹介した言葉にあるように、”自分のためでしかないプレー”につながる、”ただの自己満足でしかないこだわり”でしょう。
こだわりを持ちつつ、周囲とちゃんと連携をとる。そして己のこだわりを他人に押し付けない。立場が上になり、人を従わせる力を持てば持つほど押し付けないようにするというのは難しくなり、人に聞くことや周囲を気遣うことは難しくなるものだと思いますが、結局それができる人の周囲には人が集まり、できなければ人が離れていくものなのではないかと思います。
やはり持つべきこだわりと持ってはいけないこだわりをわきまえ、魅力的な人になりたいものですね。
雑記ブログはこちら。最近は話題のエアリズムマスクについて否定的に考察しました。
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